【2023年度版】動画配信サービスの市場レポート(市場規模、トレンド)

 インターネット動画配信サービスの歴史はすでに20年を超えるが、今なお進化が続いている。スマートフォンの普及、定額制サービスの台頭などを経て、2022年はスポーツ関連の大型配信が相次いだ。この1年の情勢を振り返り、そして将来を展望する。本稿は『動画配信ビジネス調査報告書2023』の内容をダイジェストでご紹介する。

本記事はインプレス総合研究所が発行する調査報告書
動画配信ビジネス調査報告書2023」をもとに作成しています。

定義とビジネスモデル

動画配信とは

 動画配信とは、電波や有線ケーブル等あらゆる技術的手法で動画を広く一斉送信する行為を指すが、近年は「インターネット由来の技術・規格を用いて動画コンテンツを配信する」という、狭義的な意味の認識が社会的主流となっている。
 また「VOD(ビデオ・オン・デマンド)」も、動画配信のほぼ同義語として扱われる。テレビ放送が一定のスケジュールに沿って番組を配信するのに対し、VODはユーザーが望むタイミングで視聴を開始でき、一時停止や早送りなども自在に行えるというアドバンテージがある。ただし、テレビ放送のようにスケジュール型(リニア型)で動画配信をしたり、スポーツ中継を1回限りリアルタイムで配信したりするなど、さまざまな形態が登場している。

ビジネスモデル

 動画配信のビジネスモデルは、動画の視聴に対してユーザーに直接課金する有料モデル、動画再生時に広告を挿入する無料モデル(広告モデル)の2種類に大別される。

 有料モデルについては、映画1タイトルあたり500円、連続ドラマの1話あたり200~300円というように、視聴量に対して個別に課金するTVOD(Transactional Video On Demand、都度課金型動画配信)」が当初の主流であった。レンタルビデオのビジネスモデルをほぼそのままオンラインに置き換えたと言える。

 だが2010年代後半から、「SVOD(Subscription Video on Demand、定額制動画配信)」が主役の座を奪った。代表的なサービスとしてはAmazonプライム・ビデオ、Netflix、Huluなどが挙げられる。SVODは月額500~2000円程度の利用料金が継続的に発生するが、ラインナップされているカタログから好きなだけ番組を見られる「見放題」のサービスである。

 一方、無料モデルは動画の視聴に対して課金しない代わりに、広告を一定量挿入することで利益を得る方式である。近年は「AVOD(Advertising Video On Demand、広告型動画配信)」とも呼称される。ABEMAのほか、テレビ放送の見逃し配信サービスであるTVerが代表的な存在だ。またYouTubeは、不特定多数のユーザーが動画を投稿する“動画共有”のプラットフォーム的側面が強いが、テレビ局やコンテンツホルダーの利用も相次いでおり、現在はAVODとして扱うべきだろう。

市場規模

国内の市場規模

 動画配信ビジネスの市場は着実に拡大している。デジタルコンテンツ協会の発表によれば、2022年の動画配信市場規模は推定4530億円で、前年比7%増であった。5年後の2027年には5670億円規模へ到達するとの予測も出ている。

世界の市場規模

 情報通信白書(令和4年版)によれば、世界全体動画配信市場規模は、2021年で9兆9310億円とされる。これは前年比24.5%増にあたる。(出典)Omdia、Statista「Digital Market Outlook」

 国内・国外を通じた全体傾向として、2020年の新型コロナウイルス問題をきっかけに在宅時間が増えた結果、動画配信サービスは大きく伸長した。コロナ問題の緩和によって成長ペースはやや落ち着いたが、それでも拡大していくだろうというのが大方の予測である。

プレイヤー

 ここでは、国内の主要な動画配信事業者を個別に紹介する

主なプレイヤーとその特徴

Hulu 米国発祥のサービスとして、2010年から日本国内展開を開始。ハリウッド発のメジャー映画作品をはじめ、膨大な量のコンテンツを定額制で視聴できるサービスとしては、日本における先駆者的存在だと言える。2014年に日本テレビグループが買収して経営体制を変更。現在は国内テレビ番組も数多くラインナップされている。
FOD フジテレビグループの映像配信サービス。通常、テレビ局系の動画サービスは関連子会社によって運営されている例が多いが、FODはフジテレビ直轄。見放題サービス「FODプレミアム」を軸としつつ、電子コミックを販売するなど多面的展開を図っている。
TELASA テレビ朝日とau(KDDI)が共同展開する映像配信サービス。当初はauが「ビデオパス」の名称で独自に展開していたが、後にテレビ朝日が参画し、2020年から現体制となった。テレビ朝日作品を豊富にラインナップするSVODが主力だが、個別課金型の配信も実施している。
Lemino 2022年4月、それまでNTTドコモがエイベックスと共同展開していた「dTV」をリニューアルするかたちで発足。NTTグループの系列サービスである「ひかりTV」の運営ノウハウも活かされているという。SVODに加え、ADVODも広く手がけると表明しており、注目を集めている。
U-NEXT SVOD料金は月額2189円とやや高価に感じるが、単品レンタル作品や電子書籍の購入に充当できる1200円相当のポイントを毎月付与。またコンテンツのラインナップ強化に余念がなく、米ワーナー作品、ゴルフ、総合格闘技などの独占配信タイトルも多い。2023年7月にはTBSおよびテレビ東京系の「Paravi」を吸収合併した。
DMM TV 2022年12月、DMMがそれまで展開していた動画配信サービスを一新するかたちでスタートした。新作アニメのラインナップに特に注力し、チャットを用いたコミュニケーションイベントにも積極的。また有料会員制度「DMMプレミアム」を通じて、DMMのその他サービスとも連動する。
Amazonプライム・ビデオ 送料無料特典などから構成される定額制会員制度「Amazonプライム」加入者向けの映像配信サービス。同制度は月額500円から利用できるため、他のSVODと比較して価格競争力は高い。自社スタジオ制作によるオリジナル作品をはじめ、近年はWBC野球中継も実施するなど、配信コンテンツは多様化している。
Netflix 全世界で2億人超の会員を獲得した、SVODの代名詞的サービス。競合との差別化策として、オリジナル作品の製作に全力を挙げていることでよく知られ、これは日本市場においても同様。8月には漫画「ONE PIECE」の実写ドラマ版公開が控える。
ディズニープラス 日本国内サービスの開始は2020年。他事業者と比べて後発ながら、ディズニーのアニメ作品、スター・ウォーズ、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)など極めて知名度の高い作品をSVOD形式で配信する。
dアニメストア NTTドコモが、出版大手のKADOKAWAとの合弁で運営しているアニメ専門の配信サービス。月額550円と低価格ながら5300以上の作品をラインナップしている。
バンダイチャンネル 機動戦士ガンダムシリーズをはじめとした人気コンテンツの権利元でもある、バンダイナムコグループが運営。アニメ・特撮作品の配信にほぼ特化しており、総合ジャンル型のサービスとは一線を画す。なお独占配信には必ずしも拘っておらず、多くのVODサービスでバンダイナムコ関連の作品は視聴できる。
NHKオンデマンド NHKが2008年から運営。大河ドラマ、連続テレビ小説、バラエティ、報道までさまざまなジャンルの作品を配信する。ちなみに「NHK+」は、原則として無料(受信料支払い確認が別途必要)の別サービスという扱い。
ABEMA 番組表ベースの広告付きリニア配信、一部番組の見逃し配信、さらにはSVODまで多様な配信を手がける。そして、2022年11~12月にサッカーW杯・カタール大会の全試合無料配信を手がけたことで認知を大きく広げた。
TVer 民放テレビ番組の見逃し配信をAVOD形式で実施。もともとはスマートフォン・PC向けにスタートしたが、現在はコネクテッドTV向けの視聴アプリもラインナップする。ゴールデンタイム帯、かつデバイス限定ながら、テレビ放送の同時配信もスタートしている。
DAZN サッカー・Jリーグとの間で独占配信契約を結んだことで知られる、スポーツ専門動画配信サービス。コンテンツ投資を拡大する狙いから、月額サービスの料金を相次いで改定している。2023年6月時点では月額3700円(DAZN STANDARDプラン)。

配信プラットフォーム

 本稿では、動画配信を直接の収益手段とする事業者の動向を紹介している。しかし、動画配信が本業でない企業、例えば商社やメーカーであっても、広報・マーケティング目的で動画配信に取り組む例は多い。

 こうした動画配信需要の高まりをうけ、サーバーや回線などのインフラをプラットフォームとして提供する企業が登場してきた。動画の配信規模、頻度などによって各社とも複数のサービスメニューを用意しており、TVOD/SVOD事業者であれば、最上位性能であったり、厳密なコピー対策機能を備える製品であたりを採用するのが一般的。なお、システムを完全自社開発とする配信事業者も一部ある。

 プラットフォーム提供企業としては、ブライトコーブ、PLAY、Jストリームなどが代表的。

市場動向と最新トレンド

変わるコロナ禍、2022年度の概況

 国内の動画配信ビジネスは前述の通り2000年前後から着々と続いていた。そこからスマートフォンが台頭する2010年前後を経て、2016年のNetflix国内上陸を機に、注目度が一躍上がった。以後、利用者が一貫して増加する傾向は本書調査からも判明していたが、そのペースを新型コロナ問題がさらに加速させた。休校措置や外出自粛要請で在宅時間が増加した結果、自宅での気軽なエンタテインメント体験として動画配信が広く利用されたためだ。特に2020~2021年度は、映画館やイベント興行のビジネスが不調な状況下であったにも関わらず、動画配信は大きく成長した。

 しかし2022年度は、完全払拭されたとは言えないものの、感染症問題の状況は大きく改善した。経済活動が再開する中で、言わば特需的だった動画配信ビジネスが、平常に戻るフェイズが2022年度であった。

 だが、これまで動画配信サービスに興味のなかった層が、コロナ禍という要因はあったものの、一度はサービスを体験した意義は大きい。本書の調査では、直近3カ月以内に有料の動画配信サービスを利用したことがあると回答したユーザーの割合は31.7%で、これは前年2022年調査との比較で2.8ポイント増だった。

図表1. 有料動画配信サービスの利用率の推移

図表1. 有料動画配信サービスの利用率の推移

 レンタルビデオのように店へ足を運ぶことなく、スマートフォン・PC・テレビなどのデバイスを選ばず自分本位で映像を視聴できる。この利便に気付いたユーザーが一定数、顧客として定着したのは間違いない。この事実は、さらなる市場拡大の追い風となろう。

ABEMAがサッカーW杯全64試合を無料配信

 新興の製品・サービスが社会の注目を集めるには何かしらのきっかけが必要だ。動画配信の世界でも、キラーコンテンツの待望論が長らくあり、ハリウッド発の有名映画、人気の国内テレビ番組などがよく挙げられていた。そしてもう1つが大型スポーツの生中継だった訳だが、それがついに実現した。サイバーエージェントグループのABEMAが2022年11~12月、サッカーW杯カタール大会の全64試合を無料で配信したのだ。全ての試合がオンタイムのライブ形式で配信され、日本語実況・解説付き。見逃し配信も無料で実施された(現在は終了)。

 これまでW杯の中継は地上波テレビを中心に実施されていた。その体制をBS放送でカバーすることで大規模中継を実現していた格好だが、今回はABEMA単独で全試合を配信。スマートフォンはもちろん、ABEMA対応テレビを使えば迫力ある大画面で試合を楽しめた。

 カタール大会は日本代表チームがドイツ代表、スペイン代表に勝利するという大奮闘もあり、社会的関心事となった。結果、ABEMA視聴者数が歴代最高を記録するなど、サービスの知名度向上に大きく寄与した。動画配信サービスの認知度調査では、ABEMAの認知度が2022年調査では26.7%だったが、2023年調査では42.3%へと一気に向上したことも判明している。

図表2. 動画配信サービスの認知度(TOP15)

図表2. 動画配信サービスの認知度(TOP15)

Netflixが広告付き割安プランの提供を開始、他社で追随の動きも

 これまでSVODとAVODは、ビジネスモデル的には全く異なる存在として認知されてきたが、その中間的なモデルとして“広告付き割引型VOD”が今後存在感を高めていくかもしれない。Netflixは2022年11月、動画再生時に広告が入る「広告付きベーシック」プランの提供を開始。価格は、通常のベーシックプラン月額990円から200円割引となる790円。だがその後、映像画質などをさらに向上させた「広告付きスタンダード」プランが同価格(月額790円)で提供されている。

 SVODの料金を広告によって割り引く方向性は、ディズニープラスが追随の姿勢を見せている。またLeminoは、一部のコンテンツを月額料金不要・広告付きで配信するサービスをすでに始めた。2023年後半もAVODを巡る動きに注目したい。

テレビ放送の無料見逃し配信「TVer」が躍進、コロナ脱却の1年でユーザー数36%増

 民放テレビ局によるテレビ番組の無料見逃し配信サービス「TVer」は2015年にサービスを開始。配信作品のラインナップの拡充を図る一方で、ユーザーも着実に増加している。2023年3月には単月の動画再生回数が3億2149万回に到達。これは前年同月と比較して1.27倍だった。また同社が集計するMUB(マンスリー・ユニーク・ブラウザー、月間ユーザー数に近似した統計)は2739万で、前年同月比で36%増。

 2022年度は(経済的には)コロナ禍からの回復が鮮明な年だったが、それでもTVerはこれだけの増加ペースを維持した。フジテレビ系の2022年10月期連続ドラマ「silent」の大ヒットなど、TVerの利用増に貢献する要素が多かったことはもちろんだが、TVerがより多くの生活者に浸透した証左でもあろう。

ユーザーに人気の動画配信サービス

 有料の動画配信サービス利用者を対象に、利用している有料の動画配信サービスを調査した結果、トップは「Amazonプライム・ビデオ」が72.6%となり、圧倒的な人気を誇っている。2位は昨年同様「Netflix」(21.7%)、3位は「U-NEXT」(9.3%)となり昨年調査からランクアップしている。また、「ディズニープラス」(7.4%)の2.6ポイントアップも注目される。
なお、このランキングはユーザーが利用しているサービスであるため、利用金額は加味されていない。そのため、事業者の市場シェアとは異なる。

図表3. 利用している有料の動画配信サービスTOP10(複数回答)

図表3. 利用している有料の動画配信サービスTOP10(複数回答)

テレビデバイス利用が着実に伸長、PCを越える存在感へ

 日本の動画配信サービス利用を牽引したのは、間違いなくスマートフォンである。初代iPhoneの登場からすでに10年以上が経過し、幅広い世代に利用されているスマートフォンではあるが、場所を問わずどこでも動画を視聴できる利便はいまだ確固だ。しかし、そこに「コネクテッドTV」が加わってきた。

 インターネットベースの動画配信機能(視聴機能)を備えたテレビは「スマートTV」と呼称されてきたが、ここ数年で「コネクテッドTV」へ改める傾向がみられる。

 コネクテッドTVの利用率は上昇傾向にある。有料動画配信サービスの視聴に利用しているデバイスを調査したところ、テレビは2022年調査では48.8%だったが、2023年には53.6%へと増加していた。

図表4. 有料動画配信サービスを利用する環境(複数回答)

図表4. 有料動画配信サービスを利用する環境(複数回答)

課題と将来展望

コロナ禍を経て、「動画配信のある生活」定着のために

 2023年のゴールデンウイークが終わったと同時に、感染症法における新型コロナウイルス感染症の位置付けが変わった。いわゆる「5類移行」である。これによって企業側の対策は大幅に緩和され、街には人が戻りつつある。海外からのインバウンド観光客も回復してきた。日本国内の人々の生活も、コロナ禍以前の状況へと近づいていくだろう。

 つまり動画配信に対するコロナ禍という「特需」は終わった。よって配信事業者には、また新たな普及促進策が求められる。重要なポイントはいくつかあるが、まずはサービスとしての実力、基礎を2023年の技術的ベンチマークに合致した状態へしっかりアップデートさせることだ。あって当たり前のコンテンツ、できて当たり前の機能を揃えなければ、競合と争うためのスタート地点にすら立てていないのと同義だ。

 そして、実力をしっかり高めた上で、コンテンツで差別化する。実力が伴わないまま、いたずらにオリジナルコンテンツ製作やプロモーションに極端な投資をすべきではない。キャンペーンの手法についても、本当に効果が出ているのか、継続的に見直しを行うべきだ。

「独占配信」は好手か悪手か? 国民的コンテンツを生み出すためにVOD事業者が選ぶべき道とは

 本書執筆にあたっての取材では、コンテンツホルダー(権利者)をはじめとした関係者から「独占配信の功罪」を問う声が多く漏れ聞こえた。漫画などの原作に対し、アニメ化・実写化を行い、それを単一のVOD事業者が独占的に配信する。こうした例は多いが、この手法では社会的知名度の高い、いわゆる「国民的コンテンツ」は生まれづらいのではないか。「鬼滅の刃」が多くのSVODで見られたことで知名度を上げ、後の劇場版大ヒットに繋がった事例があるだけに、この指摘はむげにはできない。

 コンテンツには「育てる」という視点が重要とされる。作品をSVODのラインナップに加えて終わりにするのではなく、視聴数のさらなる増加や、次のコンテンツ展開に必要な足がかりをどう築くか。動画配信事業者には、そうした努力も求められるようになるだろう。

増えゆくAVOD、国内市場におけるユーザーの受け止めは

 国内ではNetflixやLeminoが、そして海外ではディズニープラスが、「広告付き配信」に向けた一歩を踏み出した。サービスの細部はそれぞれ違うため、一律の比較は難しいが、動画広告市場が伸長している情勢も踏まえれば、AVODへ新規参入する動きは続くと考えられる。

 だがAVODの先駆者であるGYAO!が2023年3月にサービスを停止した現実は重い。AVODはSVODとは比較にならないレベルで利用者(サイト訪問者)を集めなければビジネスとしてなりたたないというのが関係者で一致する意見だ。また一般消費者が広告付き配信に期待しているのは「広告付き割引」ではなく、「広告付き無料」のモデルとみて間違いない。仮にAVODが広がりをみせるとしても、5年単位での取り組みとなるだろう。

W杯配信の大成功、注目イベント配信へのユーザー要求はさらに高く

 サッカーW杯・カタール大会の熱狂をみるに、日本人選手の活躍が期待される国際スポーツイベントについて、配信を望む声は高まっていくだろう。2023年後半はラグビー、バスケットボールのワールドカップが予定されているが、2024年にはパリ五輪も控えている。

 より多くの視聴を集めたいとすれば、無料配信はもちろん、テレビをはじめとしたマルチデバイス対応も進めなければならない。消費者の声に耳を傾けるにしても、相応のコストがかかるだろう。

「Paravi」吸収合併で変わるテレビ局VOD、理想像の模索は続く

 Paraviのサービス終了、そしてU-NEXTへの吸収合併は、業界関係者を最も驚かせた話題と言ってよい。在京キー局がそれぞれ独自のSVODを運営する体制が崩れたという意味でも衝撃は大きかった。なお7月に入って、TBS/テレビ東京のテレビ放送時には、TVerとU-NEXTの利用を勧める告知が頻繁に行われようになった。

 Paraviショックの余波がその他のテレビ局にも及ぶのか。あるいはAVODのTVerがSVODに参入する可能性はあるのか。あらゆる可能性が想定される。

本記事はインプレス総合研究所が発行する調査報告書
動画配信ビジネス調査報告書2023」をもとに作成しています。