電子書籍

インプレスでは、PCやPDA向けの電子書籍市場が立ち上がりはじめた2002年から電子書籍に関する調査を始め、現在まで毎年、電子書籍市場規模を発表しています。

市場のトレンド

2002年に10億円だった市場は、ケータイ向け電子市場の立ち上がりと電子コミックの躍進によって大きく拡大しました。2008年のiPhone3Gの発売以降は、市場の中心は急速に拡大したスマートフォンにシフトし、スマートフォンやタブレット等の新たなプラットフォームによる電子書籍市場が主流となりました。その間、月額課金モデル、話単位や巻単位の販売、定額制読み放題サービス、Free to Playを取り入れた無料マンガアプリの拡大などビジネスモデルも多様化してきました。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、デジタルコンテンツのニーズは高まり電子書籍の利用は急速に拡大しました。しかし、2021年度後半から新型コロナが落ちついてくると人々の外出機会も増加、また、広告市況の影響等により、市場成長は緩やかになっています。電子書籍ストアやアプリにおいては、マーケティング力やグループ力、作品力の高さ等により引き続き成長をしているところと、苦戦を強いられているところとが見られるようになっています。

2022年度の電子書籍市場規模は6026億円と推計され、2021年度の5510億円から516億円(9.4%)増加しています。新型コロナウイルス感染症への対策がより落ち着いたものとなり、リアルへの回帰、外出する機会の増加が見られる中、物価上昇も加わり、巣ごもり需要による追い風はなくなったといえます。2012年度以降、二桁成長を続けてきた電子書籍市場ですが、ついにその伸び率は一桁となりました。

一方、Webtoonと呼ばれるスマートフォンに特化したカラーの縦スクロールのコミックがブレイクしつつあり、異業種からの参入表明も相次いでいます。総合ストアにおいても、縦スクロールコミックに対応する動きが多く見られます。現状では、縦スクロールコミックの販売が好調なストアやアプリは限られていますが、出版社の参入表明等も続いており、今後が注目されます。また、制作スタジオ形式の制作の場合コストが割高になりがちであるが、翻訳して海外展開を睨んだ動きも多く、電子書籍ストアの積極的な海外展開と合わせて今後が注目されます。

今後、2027年度には8000億円の市場に成長すると予測されます。

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電子書籍や電子出版に関する受託調査をお受けいたします。これまでに官公庁や大手企業から多数の受託実績がございます。電子書籍関連の調査報告書やメディア活動を通じて蓄積した専門知識や有識者とのネットワーク、先進情報などを元に、貴社のご要望にお答えします。

受託調査の実績

電子出版をテーマとした電子雑誌「OnDeck」

インプレスグループでは、電子出版の黎明期である2010年12月に電子出版をテーマとした電子雑誌「OnDeck」を創刊しました。電子出版革新を伝えるメディアとして、関連する製品、サービス、技術、市場などの情報を、電子出版に携わる方にEPUB形式で配信しお伝えしてきました。
2010年12月の創刊号から2015年4月のVol.150まで、日本の電子出版の歴史を伝える資料として公開しています。

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