[世界のWi-Fiスポット/Wi-Fiオフロード/スーパーWi-Fi/メッシュネットワーク(802.11s)/スマートグリッド]
本書の概要
本書は、Wi-Fiネットワークが、今後、LAN(構内網)からWAN(広域網)へと脱皮し、そのサービス形態を拡大しながら発展していく動向をとらえ、新たなビジネスを産み出そうとしている状況を解説していく。
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CD(PDF)版:本体価格85,000円+税
本書の内容
スマートフォンやタブレット端末の急速な普及・拡大に伴って、通信トラフィックも加速度的に増大し、これらの端末を快適に利用できるようにするために、Wi-Fi(無線LAN)ネットワークへの期待が急速に高まっている。その背景には、スマートフォンなどから送出される膨大な量のトラフィック(制御信号などを含む)を、3GやLTEの高速移動体通信網(モバイルブロードバンド)でも処理しきれなくなくなってきており、パンク寸前になっている。
このため、スマートフォンなどに標準装備されるようになったWi-Fi通信機能を活用し、ユーザーのデータトラフィックを、3G/LTEネットワークに流すのではなく、一部Wi-Fiネットワークへ切り替えて、トラフィックを送出する「Wi-Fiデータオフロード」が注目されている。このため、通信事業者は、急速にWi-Fiスポットの増設に乗り出し、「Wi-Fiオフロード元年」の様相を呈してきた。
一方、TVホワイトスペース(いわゆるスーパーWi-Fi)の活用などによる無線LANへの新しい周波数帯(MHz帯)の利活用や、無線LANによるメッシュネットワークの標準化(802.11s)に伴って、無線LANが、屋内ネットワークから、屋外のネットワークへ、すなわち広域的にも利用可能なネットワークへと脱皮し始めた。さらに、このような動きに加えて、第4世代の新高速規格「802.11ac」や「802.11ad」、またスマートグリッド用の通信規格として900MHz帯をターゲットとした「802.11ah」の標準化活動が動き出した。
このような背景から、Wi-Fi(無線LAN)が、スマートグリッド向けの屋内のホームネットワーク(HAN)用としてだけではなく、スマートグリッドの地域的なアクセスネットワーク(FAN)としても可能となったことから、Wi-FiアライアンスのM2Mやスマートグリッドなどへの取り組みも活発化してきた。
本書は、Wi-Fiネットワークが、今後、LAN(構内網)からWAN(広域網)へと脱皮し、そのサービス形態を拡大しながら発展していく動向をとらえ、新たなビジネスを産み出そうとしている状況を解説していく。
目次
1.1 3つのネットワークの流れとWi-Fiネットワークの位置づけ
1.2 モバイルブロードバンド:100MbpsのLTE時代へ
1.3 スマートフォンによるトラフィックの爆発
1.3.1 スマートフォン:2015年に普及台数が50%を超える
1.3.2 スマートフォンはフィーチャーフォンの10倍以上のトラフィック
1.4 通信事業者がサバイバルをかけてWi-Fiデータオフロードへ
1.5 世代別にみる無線LANの標準化動向
1.6 1Gbps以上を目指す第4世代無線LAN規格の標準化動向
1.6.1 IEEE 802.11ac:6GHz帯未満で1Gbps 以上の規格
1.6.2 IEEE 802.11ad:60GHz帯で1Gbps 以上の規格
1.7 スーパーWi-Fiで無線LANも広域通信が可能へ
1.7.1 米国FCCがTVホワイトスペースをスーパーWi-Fiとして開放
1.7.2 IEEE 802.11af:TVホワイトスペースによる無線LAN規格
1.8 IEEE 802.11s:無線LANメッシュネットワークの規格が完了
1.9 IEEE 802.11ah:スマートグリッド向け規格を標準化へ
1.10 Wi-Fiアライアンスの活動【その1】:無線LAN機器の相互接続性を認証
1.11 Wi-Fiアライアンスの活動【その2】:スマートグリッドへの取り組み
1.11.1 Smart Gridタスクグループ(SGTG)を設立
1.11.2 ZigBeeアライアンスとの協力で合意
1.11.3 HomePlug Powerlineアライアンスとの協力で合意
1.11.4 SEP 2 相互接続推進のためのコンソーシアムを設立
1.11.5 第1回:SEP 2相互接続性の大規模デモを実施
2.1 変わる携帯電話市場:フィーチャーフォンからスマートフォンへ
2.1.1 世界の携帯電話市場:スマートフォン1億台突破へ
2.1.2 日本国内の日本の携帯電話市場
〔1〕ソフトバンクモバイル/KDDI:iPhoneを投入
〔2〕NTTドコモ:スマートフォンを40%増へ
2.2 スマートフォンが変えた、通信事業者の事業構造
2.2.1 携帯電話市場を大きく変えたスマートフォン
2.2.2 アプリケーション・ストアの登場
2.2.3 SNSの登場:フェースブック/ツイッター
2.2.4 通信事業者の事業構造が大きく変化
2.2.5 データ通信市場の成長と高まるスマートフォンへの依存度
2.3 通信設備が大渋滞する原因
2.3.1 スマートフォンはフィーチャーフォンの10台~30台分のデータ通信量を発生
2.3.2 通信事業者こそが「パケ死」寸前の状態
2.4 通信事業者を悩ます「ホッケースティックカーブ」
2.4.1 ホッケースティックカーブとは
2.4.2 世界の移動通信事業者にとって喫緊の課題
2.5 トラフィックの渋滞対策としてのWi-Fi
2.5.1 渋滞を緩和する2つの手段
2.5.2 供給側(通信事業者側)の対策
〔1〕対策1:通信設備を新しく作る
〔2〕対策2:新しく周波数を増やす
〔3〕対策3:新技術を導入する
〔4〕対策4:トラフィックを逃がす
2.5.3 需要側(利用者側)
〔1〕対策1:トラフィックを制限する
〔2〕対策2:利用料金を値上げする
3.1 ソフトバンクモバイル:Wi-Fiエリア10万カ所を突破
3.1.1 Wi-Fiを重視し、世界最大のFON社と提携
3.1.2 「ソフトバンク電波改善宣言」を発表
3.1.3 Wi-Fiエリアが10万カ所を突破
3.2 KDDI:10万カ所のWi-Fiスポットを目指す
3.2.1 公衆Wi-Fiサービス「au Wi-Fi SPOT」を開始
3.2.2 2012年3月末までに、10万カ所のWi-Fiスポットへ
3.2.3 3G網からのデータオフロード
3.2.4 韓国のコンテンツ配信会社「CDNetwork」を買収
3.3 NTTドコモ:Wi-Fiスポットを10万カ所にする方針
3.3.1 Xi(クロッシィ)エリアの拡大とWi-Fiエリアの拡大
3.3.2 Wi-Fiへのデータオフロードに対する取り組みを強化
3.4 イー・モバイル:「EM Wi-Fi SPOT by エコネクト」の提供を開始
3.4.1 クラスト社の公衆無線LANスポットを利用可能
3.4.2 サービスエリア数は15,200カ所以上
3.5 UQコミュニケーションズ:NTT-BP/Wi2と連携してサービスを提供
3.5.1 サービス名は「UQ Wi-Fi」
3.5.2 追加オプション「UQ Wi-Fiワイド」を提供
3.6 すでにWi-Fi設備は複数事業者間での共用状態
【コラム(1) Wi-Fiサービスにおける設備共用とMVNO】
4.1 AT&T(米国):Wi-Fiスポット数は33,000カ所
4.2 ベライゾン・ワイヤレス(米国):LTE網からWi-Fiへオフロード
4.3 タワーストリーム(米国):通信事業者向けWi-Fi卸事業へ参入
4.3.1 WiMAX事業者の米国タワーストリームが参入
4.3.2 新ビジネスモデル:広告1つダウンロードで4時間無料
4.3.3 米国8クーポン社と提携し、Wi-Fiによるクーポン系事業の拡大へ
4.4 O2(英国):自社顧客以外にもWi-Fiスポットを開放
4.4.1 事業を見直しWi-Fiを自社網として構築へ
4.4.2 自社顧客以外にもインターネット・アクセスを無料で開放
4.5 BT(英国):FONと提携してWi-Fiサービスを提供
4.5.1 固定通信事業者BTによるWi-Fiへの取り組み
4.5.2 都市部では自社、郊外ではFONを活用
4.6 SFR(フランス):Wi-Fiとフェムトセルでデータトラフィックをオフロード
4.6.1 スマートフォン向けアプリ「SFR Auto Connect Wi-Fi」のトライアル開始
4.6.2 対応するWi-Fiスポットは400万カ所
4.6.3 フェムトセルの無償提供を発表
4.7 SKテレコム(韓国):オープンなWi-Fiサービスを自社顧客向けに限定
4.7.1 Wi-Fiスポットは57,000カ所
4.7.2 フェムトセルの増設にも積極的。Wi-Fi対応のLTEフェムトセルも開発
4.8 中国電信(China Telecom、中国):光ファイバとWi-Fiスポットの増強
4.8.1 Wi-Fiスポットを100万以上へ(2012年末までに)
4.8.2 上海市では大手3社の協力で2万カ所まで拡大
5.1 岡山県:県が通信事業者となってWi-Fiサービスを提供
5.2 長崎市・佐世保市:「にんじんネット」中心に無料のWi-Fiサービス
5.3 金沢市:外国人観光客向けにWi-Fiスポットを整備
5.3.1 金沢市による整備:「FREESPOT」によるWi-Fiスポット
5.3.2 民間企業による整備:市が地元の店舗にWi-Fiの設置をあっせん
5.4 高山市(岐阜県):町おこし活動の一環としてWi-Fi網の整備
5.5 ソウル市(韓国):U-Seoulを発展させた「Seoul Wi-Fi」サービス
5.6 台北(台湾):市民および観光客をターゲットとしたWi-Fiサービス「Wifly」
5.6.1 国家ICT施策「M-Taiwan計画」のもとに推進
5.6.2 10,000カ所のWi-Fiスポットで利用可能
5.6.3 公共施設179カ所における無料の新Wi-Fiサービス「TPE-Free」
5.7 香港:無料のWi-Fiサービス「GovWiFi」で「Wireless City」化を目指す
5.7.1 民間のWi-Fi事業者の公衆Wi-Fiサービスと「GovWiFi」は補完関係
6.1 2.4GHz帯と5GHz帯:現状のWi-Fiの周波数帯
6.1.1 電波干渉とWi-Fi向け帯域の拡張
6.1.2 5GHz帯は2.4GHz帯の2倍以上の周波数帯域
6.2 注目度が高まるTVホワイトスペース
6.2.1 TV(テレビ)ホワイトスペースと日本の例
6.2.2 積極的な米国のTVホワイトスペースの活用
〔1〕FCCにけるTVホワイトスペース活用のためのルール作り
〔2〕FCC:TVホワイトスペース帯域の開放「スーパーWi-Fi」を宣言
6.2.3 活発なIEEEにおける「TVホワイトスペース利用システム」の標準化
〔1〕TVホワイトスペースを使うWi-Fi方式「IEEE 802.11af」
〔2〕米国IEEEでは多彩な標準化を推進
6.2.4 日本におけるTVホワイトスペースの活用の動き
6.2.5 日本におけるホワイトスペース活用のさらなる取り組み
7.1 Wi-Fiへのデータオフロードを阻むもの
7.1.1 周波数帯域に限界がある
7.1.2 干渉対策が難しい
【コラム(1) 周波数再編アクションプラン(平成23年9月改定版)より抜粋】
7.1.3 省電力化
7.2 Wi-Fi網の整備が進むと、携帯電話サービスは何が変わるのか
7.2.1 Wi-Fiサービスの位置づけ
7.2.2 Wi-Fiへのデータオフロードの先:設備の建設競争から運用競争へ
〔1〕重要視される「スモールセル」の整備
〔2〕設備競争(セルラー時代)から運用競争(Wi-Fiオフロード時代)へ
7.2.3 固定通信網への「オンロード」と「ロードバランシング」
7.3 Wi-Fiへのデータオフロードがもたらす「通信事業の4つの変革」
7.3.1 通信事業の変革(1):通信サービス面からの変革
7.3.2 通信事業の変革(2):制度面からの変革
〔1〕周波数:事業免許帯域の価値の変化
〔2〕通信設備:共用・共有への考え方の変化
7.3.3 通信事業の変革(3):通信料金・市場面の変革
7.3.4 通信事業の変革(4):端末面での変革
〔1〕電池寿命の問題
〔2〕通信事業者におけるARPU低下の問題
8.1 深刻なトラフィックの爆発とWi-Fiオフロードサービス
8.1.1 急ピッチで進むWi-Fiインフラの整備
8.1.2 Wi-Fiアクセス網のSpotty area(点的接続状態)問題
8.1.3 Spotty areaの解決策
8.1.4 スマートグリッド分野へのWi-Fiの適用
8.1.5 バックホール回線の無線化で敷設コストを削減
8.2 モバイル通信で重要なバックホール回線
8.2.1 バックホール回線とは
8.2.2 バックホール回線の実現形態:非イーサネットとイーサネットに分類
8.2.3 非イーサネットバックホール回線の事例
〔1〕有線の非イーサネットバックホール回線の事例
〔2〕無線の非イーサネットバックホール回線の事例
8.2.4 イーサネットバックホール回線の事例
〔1〕有線のイーサネットバックホール回線の事例
〔2〕無線のイーサネットバックホール回線の事例
8.3 Wi-Fiのための無線バックホール回線の技術要件
8.3.1 ショートレンジ無線バックホール回線とロングレンジ無線バックホール回線
8.3.2 ショートレンジ無線バックホール回線の技術要件
〔1〕ゼロコンフィギュレーション(自動設定)
〔2〕環境適応性(移設のしやすさ)
〔3〕多段無線中継
〔4〕トラフィックデマンドに対するスケーラビリティ
8.4 ショートレンジ無線バックホール回線
8.4.1 PicoMESHのネットワーク構成
8.4.2 PicoMESHを活用したエリア構築の具体的手順
8.4.3 統計メッシュ(ツリー構造の経路制御)による高速化
〔1〕通常メッシュと統計メッシュの違い
〔2〕通常メッシュの場合
〔3〕統計メッシュの場合
8.4.4 周期的間欠送信(IPT):電波干渉による劣化を防ぐ技術
8.4.5 PicoMESHの無線バックホール回線エンジン
8.4.6 PicoMESHの性能
〔1〕実験条件
〔2〕フレーム転送に要する処理遅延時間
〔3〕通信可能距離
〔4〕スループット特性の評価
〔5〕ハンドオーバー処理遅延の評価
8.5 ショートレンジ無線バックホール回線を適用した空間連続性を満たす広域Wi-Fiアクセス網の事例
8.5.1 キャナルシティ博多のシステム構成
8.5.2 ネットワーク性能評価
〔1〕グッドプット(Goodput)の総和の調査
〔2〕遅延特性の調査
〔3〕擬似的ハンドオーバーの切り替え遅延時間特性の調査
〔4〕システム容量の評価
8.5.3 3.5Gシステムとの比較
8.6 まとめ:スモールセル化への道は避けて通れない
8.6.1 不可欠なスモールセルの導入
8.6.2 絶大な効果があるスモールセルによる容量拡大
9.1 IEEE 802.11s規格と802.11関連規格の関係
9.1.1 IEEE 802.11規格の歴史的な発展
〔1〕リビジョン(Revision、改訂規格)
〔2〕アメンドメント(Amendment、修正規格)
9.1.2 IEEE 802.11s規格の標準化の範囲(スコープ)
9.1.3 802.11s規格と他技術との対比
9.2 IEEE 802.11アーキテクチャの整理と新しいMesh BSSの定義
9.2.1 BSS(基本サービスセット)と動作モード
9.2.2 DS(ディストリビューションシステム)
9.2.3 新たに定義されたMesh BSS
9.3 IEEE 802.11sメッシュネットワークの設計で重要視されたことがら
9.3.1 機能のモジュール化
9.3.2 完全自律分散制御での動作
9.3.3 ソフトウェア処理で完結
9.4 IEEE 802.11sメッシュネットワークを構成する技術
9.4.1 隣接局管理(Mesh STAの管理)
〔1〕隣接局のディスカバリ(発見)
〔2〕時刻同期
〔3〕隠れ端末問題
9.4.2 ピア(Peer)管理とセキュリティ
〔1〕ピアツーピアの論理リンク設定手順
〔2〕通信局(Mesh STA)の認証
9.4.3 パスセレクション(経路選択)
〔1〕エアタイムリンクメトリック(Airtime Link Metric)
〔2〕HWMP(ハイブリッド無線メッシュプロトコル)の内容
〔3〕HWMPオンデマンド・モード
9.4.4 レイヤ2ブリッジで外部ネットワークとの連携
9.4.5 送受信されるフレームの拡張ヘッダと宛先設定
〔1〕Mesh Controlフィールド
〔2〕ユニキャストデータフレームの宛先設定
〔3〕マルチキャストデータフレームの宛先設定
9.4.6 マルチホップ通信環境における分散予約アクセス
9.4.7 802.11sにおける省電力モード
9.4.8 エンドツーエンドの混雑制御 (フロー制御)
9.5 IEEE 802.11s規格に基づいた無線メッシュネットワークの実装例
9.5.1 安価なラップトップの開発:OLPC XOとClassmate PC
9.5.2 進むオープンソース実装:「open80211s」プロジェクトが進行中
9.6 IEEE 802.11sメッシュネットワークにおける運用形態
9.6.1 単一の周波数チャネルで動作するメッシュネットワーク
9.6.2 複数の周波数チャネルで動作するメッシュネットワーク
9.6.3 アクセスポイントとのコロケーション
9.7 802.11sメッシュネットワークの想定される利用例(ユースケース)
9.7.1 無線メッシュネットワークを無線バックホール回線として利用
〔1〕「ホットスポット」を「ホットエリア」に容易に拡張可能
〔2〕無線ネットワークを機動的に展開
9.7.2 端末機器間のピアツーピア通信
9.7.3 公衆安全(Public Safety)とアドホックネットワーク
9.7.4 M2M(Machine to Machine)とスマートグリッドへの適用
〔1〕機械同士が人間を介在せずに相互に情報交換
〔2〕802.11sをセンサーネットワークへ
〔3〕802.11s無線メッシュネットワークをスマートグリッドへ