本書の概要
データマネジメントとは、データを資源として、ビジネスに活かせる状態を継続的に維持し、進化させていくための組織的な営みです。昨今、社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れや生成AIの普及を背景に、データマネジメントの重要性は高まっています。
本書は、「データマネジメント調査報告書」の第三弾となるもので、企業におけるデータマネジメントの現状と課題を整理するとともに、生成AI時代においてデータマネジメント基盤を整備すること、そして進化に取り組むことの重要性を明らかにします。また、データマネジメントを高度化する製品・サービスについて、主要なベンダーへの取材をもとに、各社のビジネス動向や戦略を解説。データマネジメントにおける技術的・ビジネス的なトレンドを整理します。顧客のDXや生成AI導入、データマネジメントを支える企業や、データマネジメントに取り組む企業にとって、必携の1冊です。
本書のポイント
- データマネジメントの基本的な情報から最新動向までを網羅
- 生成AIへの取り組みをデータマネジメントの視点から解説
- アンケート調査結果からデータマネジメントや生成AIに取り組む企業の現状を分析
- データマネジメント関連企業の動向を紹介
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注目の調査結果
■半数以上の企業がAI-Readyデータへの取り組みを開始
RAG(検索拡張生成:Retrieval-Augmented Generation)やファインチューニングといった、企業内データと連携させた生成AIの活用を計画しているかどうかを聞いたところ、計画していない企業は全体の12%に過ぎず、7割を超える企業が検討中もしくは関心を持ってAIに臨んでおり、すでに活用を開始している企業は15.8%に達しています。また、生成AIのために非構造化データをAIが学習・活用しやすい形にするAI-Readyデータへの取り組みも、半数を超える企業が開始済みという結果になりました。
■データマネジメントへの本気度、優先度は上向きに
生成AIの活用に向けてデータの整備を強化したいというモチベーションが高まる中で、データマネジメントに対する企業の本気度、優先度がどの程度変化しているかを、企業内で取り組まれる施策の優先順位が最も端的に現れる予算配分で見てみました。IT投資予算に占めるデータマネジメントへの投資比率を見ると、2024年度と同様に「5%未満」の企業が最も多く37.7%を占めていますが、「5%以上10%未満」と回答した企業が2024年度の15.3%に対し2025年度は25.3%と大きく増加しています。また、データマネジメントに関する人材や組織の課題として「予算が確保しにくい」を上げた企業は過去2年間では連続して3割を超えていましたが、2025年度は29.2%とはじめて20%台となり、データマネジメントへの投資は、まだ配分比率が多いとは言えないものの、少しずつ上向いているようです。
■サイロ化問題の解決策としてデータメッシュ・データファブリックへの注目が高まる
分散したデータを統合して活用する手法として、データを予め結合し蓄積すること無くリアルタイムで様々なデータを連携・統合して活用できる環境である、データメッシュとデータファブリックへの期待が高まっています。今回の調査でも、「データメッシュの採用を検討している」企業は2024年度の10.8%から23.8%へ倍増しており、「データファブリックの採用を検討している」企業も2024年度の10.3%から20.2%へと、こちらも倍増しています。
■企業のデータマネジメントの取り組み実態調査 概要
| 調査目的 | 企業におけるデータマネジメントの活動状況やデータマネジメントを担当する人材・組織の状況を把握すること |
| 調査対象 | 株式会社インプレスが媒体/サービスである「IT Leaders」などの読者、セミナー・イベントなどの事前登録者・受講者・来場者のうち、勤務先企業・団体のデータの維持・管理(データマネジメント)の状況を把握している方や、実務に携わっている方 |
| 調査方法 | 対象者にメールを送付し、Web上のアンケートフォームへ誘導 |
| 有効回答数 | 387人 |
| 調査機関 | 2025年10月20日~11月4日 |
| 調査企画 | 実施:株式会社インプレス インプレス総合研究所 |
本書の内容
データマネジメントとは、データを資源として、ビジネスに活かせる状態を継続的に維持し、進化させていくための組織的な営みです。昨今、社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れや生成AIの普及を背景に、データマネジメントの重要性は高まっています。
本書は、「データマネジメント調査報告書」の第三弾となるもので、企業におけるデータマネジメントの現状と課題を整理するとともに、生成AI時代においてデータマネジメント基盤を整備すること、そして進化に取り組むことの重要性を明らかにします。また、データマネジメントを高度化する製品・サービスについて、主要なベンダーへの取材をもとに、各社のビジネス動向や戦略を解説。データマネジメントにおける技術的・ビジネス的なトレンドを整理します。顧客のDXや生成AI導入、データマネジメントを支える企業や、データマネジメントに取り組む企業にとって、必携の1冊です。
第1章では、生成AIによりデータマネジメントの重要性がさらに高まった背景を整理し、構造化データから非構造化データまでを対象とする“AI-Readyデータ”の要件と整備のアプローチを提示します。
第2章では、MDM、データ統合、データレイク/レイクハウス、メタデータ管理、生成AIによるデータ整備支援など、データマネジメントを支える主要技術・サービスの動向を体系的にまとめるとともに、データメッシュなどの最新アーキテクチャや制度面の変化も解説します。
第3章では、アンケート調査に基づき、企業のデータ品質管理、統合・基盤整備、メタデータ管理、生成AI対応、人材・組織などの取り組み状況を分析し、成功企業と停滞企業の差を示します。
第4章では、主要ベンダーへの取材をもとに、MDM、統合基盤、メタデータ管理などの製品戦略と生成AI対応の方向性を整理し、ユーザー企業が製品・サービス選定で重視すべき視点を提示します。
目次
1.1 データマネジメントとは
1.1.1 データマネジメントの定義と構成要素(データアーキテクチャ、データ品質、データマネジメントプロセス)
1.1.2 データマネジメントの実現を支える技術要素(データモデリング、データカタログ、マスターデータマネジメント)
1.1.3 なぜAIにとってデータマネジメントが必要か
1.1.4 これからのデータマネジメントに求められるもの(課題解決策)
1.2 構造化/定量データから非構造化/定性データへの拡張―「AI-Readyデータ」の要件と整備の道筋1.2.1 生成AI時代にデータマネジメントが不可避になる
1.2.2 非構造化データ時代の到来とデータマネジメントの拡張
1.2.3 “AI-Readyデータ”の3要件:Quality / Semantics / Lineageと整備の道筋
1.2.4 生成AIモデル活用に不可欠な前処理とガバナンスの拡張
1.3 生成AI時代に取り残されないために―データマネジメントで差がつく企業力
1.3.1 危機感:生成AIが広げる「デジタル格差」の脅威とPoC中断の現実
1.3.2 AI-Readyデータ構築の基礎と継続的な取り組みの必要性
1.3.3 データマネジメント実践のための「視点」の必要性とG4Dの役割
1.3.4 AI-Readyデータ構築と継続的改善の道筋
2.1 データマネジメントを支える技術とサービス動向
2.1.1 データマネジメント領域の動向
2.1.2 マスターデータマネジメント/データ品質管理
2.1.3 データ統合・連携
2.1.4 データ蓄積
2.1.5 メタデータ管理
2.1.6 データ整備を支える生成AI活用技術
2.1.7 分散型のデータ統合に向けた新たなアプローチ
2.2 制度的動向
2.2.1 パブリックセクターのデータ戦略
2.2.2 AI法とデータマネジメント
2.3 生成AI時代の価値創出を支えるデータエコシステムとトラストの向上
2.3.1 データエコシステムとは
2.3.2 データエコシステム形成にかかわるハードル
2.3.3 生成AI時代の情報サービス関連企業における、データエコシステムの取り組み価値
2.4 データスペース(Dataspaces)―2025
2.4.1 データ駆動型社会のインフラとしてのデータ連携基盤
2.4.2 新しいデジタルインフラとしてのデータスペース
2.4.3 東京大学データスペース技術国際テストベッド
2.4.4 2025年の動向
2.5 データマネジメントの将来展望
3.1 調査概要
3.1.1 調査概要
3.1.2 回答者(回答企業)のプロフィール
3.2 取り組み全体
3.2.1 データマネジメントの取組状況
3.2.2 データマネジメントに期待する効果
3.2.3 IT投資予算に占めるデータマネジメントに関わる投資
3.2.4 データマネジメントに関わる投資の効果の明確化
3.2.5 今後の投資で重点を置きたい分野
3.3 データ品質・マスターデータマネジメント
3.3.1 データ品質に関する課題
3.3.2 データ品質の維持・改善
3.3.3 マスターデータマネジメントの取組状況
3.3.4 マスターデータマネジメントの課題
3.3.5 マスターデータマネジメントの担当部門
3.3.6 今後のマスターデータマネジメントの方針や将来像
3.4 データ統合・データ基盤・メタデータ整備
3.4.1 データ統合の状況
3.4.2 データ基盤に関する課題
3.4.3 メタデータにより得られる効果
3.4.4 メタデータの整備状況
3.4.5 メタデータを整備する人や組織
3.5 データアーキテクチャ・データモデリング
3.5.1 データアーキテクチャの策定状況
3.5.2 データアーキテクチャの策定へのIT部門以外の関与
3.5.3 データモデリングの実施状況
3.5.4 データモデルの作成目的
3.6 生成AI
3.6.1 企業内データと連携させた生成AIの活用状況
3.6.2 企業内データと連携させる技術や手法
3.6.3 非構造化データの「AIが学習・活用しやすい形」にする取組状況
3.6.4 企業内データと連携させた生成AIを活用する際の課題
3.6.5 生成AI活用におけるデータガバナンスの課題
3.6.6 生成AI活用にあたってのセキュリティ対策
3.6.7 生成AIの活用にあたってのルールやガイドラインの策定状況
3.7 人材・組織
3.7.1 CDO(Chief Data Officer)の任命状況
3.7.2 データマネジメントを担う組織の状況
3.7.3 データマネジメントに関する人材・組織の課題3.8 その他のトピック
3.8.1 データ分析のために収集(使用)しているデータの種類
3.8.2 データ分析・活用のための専門組織の設置状況
3.8.3 データの整備や活用のために利用しているツールやサービス
3.8.4 データメッシュの取組状況
3.8.5 データファブリックの取組状況
3.8.6 生産現場のデータの活用状況
3.9 アンケート結果から見る国内企業のデータマネジメントの現在地と今後の展望
3.9.1 データ成熟度モデルによる評価
3.9.2 生成AIの急速な進展がデータマネジメントの追い風に
3.9.3 企業内におけるデータマネジメントの優先順位の変化
3.9.4 データサイロ化問題の解決策として注目のデータメッシュ・データファブリック
3.9.5 データアーキテクチャ策定の成否は経営層の参画が大きく影響
3.9.6 データ品質に対する課題認識が高まる反面、改善は足踏み状態
3.9.7 生成AIのために重要度を増すメタデータ 整備の鍵を握るのは事業部門のナレッジ参画
3.9.8 業界別では小売業の先行が顕著、IT部門の活躍が広がっている
3.9.9 データマネジメント人材の不足が最大のボトルネック
3.9.10 今後の展望 データマネジメント人材の育成に向けて
4.1 日本IBM
4.2 SAS Institute Japan
4.3 TIBCO Software(NTTドコモビジネスX)
4.4 日本テラデータ
4.5 クリックテック・ジャパン
4.6 Snowflake
4.7 アステリア
4.8 セゾンテクノロジー
4.9 日本オラクル
4.10 SAPジャパン
4.11 Stibo Systems
4.12 Denodo Technologies
4.13 データブリックス・ジャパン
4.14 アマゾン ウェブ サービス ジャパン
4.15 グーグル・クラウド・ジャパン
4.16 日本マイクロソフト
4.17 その他の企業