本書の概要
今年9年目の発行となるドローンビジネス調査報告書の2023年度版。
本書はドローン関連ビジネスを展開する企業やキーマンなど40社以上の取材を基に、市場動向、ビジネス動向、行政、法律や規制、課題、展望などドローン市場を多角的に分析。国内のドローンビジネスの成功戦略を立てるための情報が網羅された、必携の1冊です。
本書のポイント
- 最新の国内ドローンビジネス市場規模
- 14の産業分野別ロードマップなど
- 国や行政の動き、法律や規制などを網羅し分析、免許制や機体登録制等を定めた航空法改正の詳細を解説
- ドローンビジネス(ドローンを活用するビジネスetc)の課題と展望
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注目の調査結果
2023年度における日本国内のドローンビジネスの市場規模は、3854億円と推測されます。2022年度の3111億円から743億円増加しています(前年度比23.9%増)。2024年度には前年度比21.5%増の4684億円に拡大し、2028年度には9054億円に達すると見込まれます。これは年間平均成長率(2023年度~2028年度)に換算すると、年18.6%増加することになります。
【図表1】 国内のドローンビジネス市場規模の予測
ドローンビジネスの市場は、機体とサービス、周辺サービスの3つで構成されています。2023年度に市場規模が最も大きかったのはサービス市場で、前年度比27.6%増の2025億円です。次いで機体市場が前年度比21.2%増の1051億円、周辺サービス市場が前年度比18.5%増の778億円となります。各市場とも今後も拡大が見込まれています。2028 年度においては、サービス市場が5154億円(2023年度~2028年度の年間平均成長率20.6%増)と最も成長し、機体市場が2281億円(同年間平均成長率16.8%増)、周辺サービス市場が1619億円(同年間平均成長率15.8%増)に達する見込みです。
機体市場は、近年20~50kg程度の重量物を運ぶための機体が登場し、限られたエリア内でモノを移動させる運搬でのドローンの利用が広がっています。土木・建築現場の資機材や農産物、農業資材のように、人が運ぶには重たいものをドローンで運ぶことができるため、従来の建設機械や農業機械のように、現場における生産性向上の手段としてドローンの利用が広がることが予想されます。2024年度は、レベル4飛行に欠かせない第一種型式認証に加え、利用者にとって操縦者技能証明との組み合わせで許可・承認を省略できる第二種型式認証のドローンが増加するとみられます。
【図表2】 国内のドローン市場規模におけるサービス市場の分野別市場規模の予測
サービス市場では、特に点検、土木・建築、農業などの分野におけるドローンの社会実装が着実に進んでいます。2023年度の点検分野では、橋梁、一般住宅、大規模建造物などの点検用途での商用化・実用化がより一層進んでいます。またオフィスビルや商業施設の天井裏や下水道の管渠、ボイラーやダクトの内部など狭小空間でのドローン活用の認知が広まり、普及し始めています。さらに、水上や水中といったフィールドで活躍するドローンの利用が活発化しています。海洋構造物やダム、上下水道、農業水利施設の管路といった設備を対象にした点検を中心に利用が広がっていくとみられます。
農業分野では、ドローンによる農薬散布が定着しつつあります。その一方で、画像解析やリモートセンシングといった精密農業の領域では普及が進まず、分野全体では市場拡大が鈍化しています。
物流分野では昨年度から引き続き、全国で実証実験をはじめとしたドローン物流の取り組みが数多く行われています。しかし、商用化している企業は一部にとどまり、まだ市場はほとんど立ち上がっていません。「無人地帯での補助者なし目視外飛行(レベル3)」に関するルール改正(レベル3.5飛行制度の新設)が行われたことが後押しとなり、2025年度以降に市場が本格的に立ち上がっていくとみられます。
その他サービス分野の中ではエンタテイメント用途での活用が昨年度に引き続いて伸びています。数百から数千のドローンを群制御して、機体のライトで夜空に文字や図形、アニメーションを描くドローンショーは全国各地で行われており、今後は広告媒体の1つとしても注目を集めていくとみられます。
周辺サービス市場では、無人航空機操縦者技能証明制度の開始に伴い、スクール事業が活発化しています。また、ドローンの産業利用が進むにつれて、バッテリー等の消耗品や定期的なメンテナンス、業務環境に即した保険のバリエーションの増加などにより、周辺サービス市場は機体市場の拡大に合わせて引き続き成長していくと予想されます。
本書の内容
本書はドローン関連ビジネスを展開する企業やキーマンなど40社以上の取材を基に、市場動向、ビジネス動向、行政、法律や規制、課題、展望などドローン市場を多角的に分析。国内のドローンビジネスの成功戦略を立てるための情報が網羅された、必携の1冊です。
第1章の「ドローンビジネス市場分析」では、ドローンビジネスの市場規模やロードマップと今後の展望、産業構造やプレイヤー整理、事業レイヤーごとの動向と分析、市場全体の最新動向、法律や規制など、ドローン市場を知るうえで必要な情報を網羅的にまとめています。
第2章「産業分野別のドローンビジネスの現状と課題」では、農業、土木・建築、点検、搬送・物流、公共など14分野合計38の産業・業務用途ごとにドローンを活用したビジネスの現状とロードマップ、課題(分野特有の課題、技術課題、社会的課題など)、今後の可能性などを分析しています。
第3章の「各省庁の動向」では、今後のドローンビジネス市場を展望するうえで重要な、内閣官房・内閣府、国土交通省、農林水産省、経済産業省、総務省の動向をまとめています。
第4章の「企業動向」では、今後のドローンビジネス市場のカギを握る企業を「ハードウエアメーカー」「サービス・ソリューション提供」「業界団体」などに分類し、45の企業・団体の動向をまとめています。
目次
1.1 ドローンの定義と分類
1.1.1 本書で取り扱う「ドローン」の定義
1.1.2 ドローンの分類
1.1.3 コンシューマー向けと業務用
1.1.4 回転翼と固定翼、VTOL
1.1.5 屋内用小型ドローンとマイクロドローン
1.1.6 水中ドローン
1.1.7 UGV(ローバー型ドローン)
1.2 ドローンの役割と有用性
1.2.1 ドローンの役割
1.2.2 ドローンの有用性
1.3 国内ドローンビジネスの市場規模
1.4 2023年度の動向と今後の見通し
1.4.1 2023年度の動き
1.4.2 2024年度の注目点
1.5 国内ドローンビジネスの産業構造
1.5.1 ドローンビジネスの産業構造の整理
1.5.2 ドローンビジネスのプレイヤー
1.6 ドローン事業レイヤーごとの動向
1.6.1 機体メーカー
1.6.2 センサーメーカー
1.6.3 サービス事業者
1.6.4 人材会社
1.6.5 スクール
1.6.6 情報セキュリティ
1.6.7 アンチドローン
1.7 ドローン市場の最新動向
1.7.1 航空法上のドローンに関する新ルール施行から1年
1.7.2 登録講習機関の増加で顕在化する修了審査での不適切事項
1.7.3 レベル4飛行解禁後1年で3例という取り組みで見える課題
1.7.4 ドローンの事業化を促進するための「レベル3.5飛行」制度
1.7.5 型式認証の最新動向
1.7.6 ブルーイノベーションが東証グロース市場に上場
1.7.7 ドローンが一度に70kg、一日に1トン超を空輸する
1.7.8 アナログ規制が抱える課題をドローンで解決する取り組み
1.7.9 ドローン航路を整備するデジタルライフライン全国総合整備計画
1.7.10 自動化ソリューションの本丸として注目を集めるドローンポート
1.7.11 規模も開催数も拡大を続けるドローンショー
1.7.12 枯渇するソフトウエアエンジニアの育成が課題に
1.8 航空法上のドローンに関するルール
1.8.1 機体認証、技能証明という2つの新制度と新しい運航ルール
1.8.2 飛行リスクによる“カテゴリー”の分類と必要な手続き
1.8.3 機体認証制度
1.8.4 無人航空機操縦者技能証明制度
1.8.5 無人航空機の運航管理要件(運航ルール)
2.1 ドローンの利用が期待される分野
2.2 農林水産業
2.2.1 農薬散布(肥料散布、種まきなど)
2.2.2 精密農業
2.2.3 害獣対策
2.2.4 水産業
2.2.5 林業
2.3 土木・建築
2.3.1 工事進捗
2.3.2 測量
2.4 点検
2.4.1 橋梁
2.4.2 トンネル・洞道
2.4.3 ダム
2.4.4 送電網
2.4.5 基地局鉄塔・通信鉄塔
2.4.6 ソーラーパネル
2.4.7 一般住宅
2.4.8 大規模構造物(ビル・工場・倉庫など)
2.4.9 下水道
2.4.10 プラント
2.4.11 風力発電
2.4.12 建築物設備
2.4.13 船舶
2.4.14 鉄道施設
2.4.15 水中構造物
2.5 空撮
2.5.1 商業空撮
2.5.2 報道空撮
2.6 搬送・物流
2.6.1 輸送・配送
2.6.2 緊急搬送
2.7 警備
2.7.1 巡回・監視
2.8 在庫管理
2.8.1 在庫管理(屋内)
2.8.2 在庫管理(屋外)
2.9 計測・観測
2.9.1 環境モニタリング
2.10 保険(損害保険)
2.10.1 損害保険
2.11 エンタテインメント
2.11.1 ドローンレース
2.11.2 イベント演出
2.12 通信
2.12.1 基地局・中継局
2.13 公共
2.13.1 消防
2.13.2 災害調査
2.14 運搬
2.14.1 運搬
2.15 その他
3.1 全体動向
3.2 内閣官房・内閣府
3.3 国土交通省
3.4 農林水産省
3.5 経済産業省
3.6 総務省
4.1 ハードウエアメーカー
4.1.1 イームズロボティクス
4.1.2 石川エナジーリサーチ
4.1.3 ACSL
4.1.4 NTT e-Drone Technology
4.1.5 エバーブルーテクノロジーズ
4.1.6 Autel Robotics
4.1.7 川崎重工業
4.1.8 Skydio
4.1.9 SkyDrive
4.1.10 SONY
4.1.11 DJI
4.1.12 VFR
4.1.13 プロドローン(PRODRONE)
4.1.14 ヤマハ発動機
4.2 サービス・ソリューション提供
4.2.1 iROBOTICS(アイ・ロボティクス)
4.2.2 エアロセンス
4.2.3 ANAホールディングス
4.2.4 NTTコミュニケーションズ
4.2.5 KDDIスマートドローン
4.2.6 セコム
4.2.7 センシンロボティクス
4.2.8 SORABOT
4.2.9 テラドローン
4.2.10 ドローン・ジャパン
4.2.11 ドローンエモーション
4.2.12 DroneWorkSystem
4.2.13 日本航空
4.2.14 NEXT DELIVERY
4.2.15 パーソルプロセス&テクノロジー
4.2.16 FINDi
4.2.17 ブルーイノベーション
4.2.18 楽天
4.2.19 Liberaware
4.2.20 レッドクリフ
4.3 業界団体
4.3.1 一般社団法人救急医療・災害対応無人機等自動支援システム活用推進協議会(EDAC)
4.3.2 一般社団法人セキュアドローン協議会
4.3.3 一般社団法人ドローンサービス推進協議会(DSPA)
4.3.4 一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)
4.3.5 一般社団法人ドローン測量教育研究機構(DSERO)
4.3.6 一般社団法人日本産業用無人航空機工業会(JUAV)
4.3.7 一般社団法人日本ドローンコンソーシアム(JDC)
4.3.8 日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)
4.3.9 一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)
4.3.10 一般社団法人日本UAV利用促進協議会(JUAVAC)
4.3.11 DRONE FUND