インプレスグループでIT関連メディア事業を展開する株式会社インプレス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小川 亨)のシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は、電子書籍市場の動向を調査し、電子書籍に関する調査結果を発表いたします。また、本調査結果の詳細は、新産業調査レポート『電子書籍ビジネス調査報告書2020』(https://research.impress.co.jp/ebook2020)として発行し、2020年8月21日(金)に発売(予約受付中)いたします。
本調査は、「出版社」「電子書籍ストア」「取次事業者」「通信事業者」「コンテンツプロバイダー」「インターネット広告事業者」等の主要な電子書籍関連事業者へのヒアリング調査、ユーザーへのアンケート等を分析したものです。なお、本調査報告書は電子書籍ビジネス黎明期の2003年に第1号目を発行し、今年で18年目を迎えます。
■2019年度の電子書籍市場規模は前年比22.9%増の3473億円
2019年度の電子書籍市場規模※1は3473億円と推計され、2018年度の2826億円から647億円(22.9%)増加しています。社会問題化していた海賊版サイトの閉鎖以降、電子書籍の認知度向上と正規サイトの利用促進が進み、売上は拡大が続いています。
一方、電子雑誌市場規模※2は277億円(対前年6.4%減)と推計され、2年連続の減少となりました。
電子書籍と電子雑誌を合わせた電子出版市場は3750億円になりました。2020年度以降の日本の電子出版市場は今後も拡大基調で、2024年度には2019年度の1.5倍の5669億円程度になると予測されます。
【図表1. 電子書籍・電子雑誌の市場規模予測】
※1 電子書籍の市場規模の定義:電子書籍を「書籍に近似した著作権管理のされたデジタルコンテンツ」とし、配信された電子書籍(電子書籍、電子コミック等)の日本国内のユーザーにおける購入金額の合計を市場規模と定義。購入金額には、個々単位の販売に加え、月額課金モデル、月額定額制の読み放題、マンガアプリの課金を含む。ただし、電子雑誌、電子新聞や、教科書、企業向け情報提供、ゲーム性の高いもの、学術ジャーナルは含まない。また、ユーザーの電子書籍コンテンツのダウンロード時の通信料やデバイスにかかわる費用、オーサリングなど制作にかかわる費用、配信サイトにおける広告も含まない。 ※2 電子雑誌の市場規模の定義:電子雑誌を、紙の雑誌を電子化したものやデジタルオリジナルの商業出版物で逐次刊行物として発行されるものとし、日本国内のユーザーにおける電子雑誌の購入金額の合計を市場規模と定義。購入金額には、個々単位の販売に加え、定期購読、月額課金モデル、月額定額制の読み放題を含む。ただし、学術ジャーナル、企業向け情報提供、ゲーム性の高いものは含まない。また、ユーザーの電子雑誌コンテンツのダウンロード時の通信料やデバイスにかかわる費用、オーサリングなど制作にかかわる費用、配信サイトにおける広告、コンテンツ中の広告も含まない。 |
■2019年度の電子コミック市場規模は2989億円に増加、コミックの市場占有率がさらに上昇
2019年度の電子書籍市場規模のうち、コミックが前年度から602億円増加の2989億円(市場シェア86.1%)、文字もの等(文芸・実用書・写真集等)が同45億円増加の484億円(同13.9%)となっています。
【図表2.電子書籍市場規模のジャンル別内訳】
■2019年度のマンガアプリ広告市場は210億円、2020年度は270億円に拡大
無料でマンガを読めるアプリやサービスの利用が引き続き拡大しています。2019年度のマンガアプリ広告市場規模は210億円になりました。動画リワード広告と読了後に表示する静止画・動画広告、オファーウォールが主流で、特に動画リワード広告が急拡大しています。2020年度は1.3倍の270億円程度に達すると予測しています。
【図表3. マンガアプリ広告市場規模】
■有料電子書籍利用率は20.0%、無料利用も含めた電子書籍利用率は44.7%(昨年比1.0ポイント増加)
モバイル(スマートフォン・タブレット)ユーザーに対して、電子書籍の利用率(電子雑誌利用も含む)を調査したところ、有料の電子書籍利用率は20.0%となり、昨年から0.2ポイントの増加となりました。「無料の電子書籍のみを利用している」は24.7%となり、昨年からは0.8ポイント増加しています。
有料電子書籍の利用率が高いのは男性30代の27.2%、男性20代の25.2%、女性30代の23.6%、男性40代の22.6%の順で、男女とも30代が最も高い。無料の電子書籍のみの利用率が最も高いのは女性10代の38.9%で、男性10代の30.8%、女性20代の29.2%、男性20代の28.2%と続きます。男女とも10代が最も高い比率であり、高年代になるほど低下します。性年代別の利用率を昨年度と比較すると、ほとんどの年代で昨年調査時よりも有料での利用率が増加しています。
【図表4. 電子書籍利用率の推移】
【図表5. 性年代別電子書籍利用率】
有料、無料を問わずに電子書籍を利用していると回答した人に、利用している電子書籍サービスやアプリを聞いたところ、「Kindleストア」が26.2%で最も高く、2位は「LINEマンガ」が25.0%、3位は「ピッコマ」が15.1%、4位は「少年ジャンプ+」が14.4%、5位は「楽天Kobo電子書籍ストア」が13.6%で続いています。電子書籍ストアやマンガアプリが混在し、定額制読み放題サービスや投稿サイトもランクインしています。
【図表6. 利用している電子書籍サービスやアプリ名(複数回答、上位20位まで)】
※回答総数3467のうち、当該設問の無効回答を除いて集計している
<<調査概要>>
■電子書籍の利用率調査
調査対象 :コロプラ スマートアンサーの保有するモニター
有効回答数 :11,017サンプル
サンプリング :性年齢階層別スマートフォンでのインターネット利用人口構成比(総務省 通信利用動向調査)に可能な限り整合するように抽出。ただし、年代により回収率が異なっており母集団との乖離がみられるため、比重調整を行った上で分析している
調査手法 :スマートフォン・タブレットのアプリ上でのアンケート
調査期間 :2020年6月26日(金)~7月12日(日)
■電子書籍利用実態調査
調査対象 :上記の利用率調査で電子書籍を利用していると回答した人
有効回答数 :3,467
調査手法 :スマートフォン・タブレットのアプリ上でのアンケート
調査期間 :2020年7月7日(火)~7月14日(火)
<<構成・各章の概要>>
第1章 電子書籍の定義と市場規模
電子書籍の定義を整理。また、電子書籍の市場規模の推移と今後の予測について、より詳細な解説を加えています。
第2章 国内の電子書籍ビジネスの最新動向
国内の電子書籍の最新動向を掲載しています。電子書籍市場を深く理解する上で必要な最新トピックスなど分析を交えながら紹介しています。また、今後の動向について展望しています。
第3章 米国の電子書籍ビジネスの最新動向
米国の電子書籍の最新動向を掲載しています。電子書籍市場を深く理解する上で必要な最新トピックスなど分析を交えながら紹介しています。
第4章 電子書籍ストア/サービスの最新動向
16の国内電子書籍ストア/サービスについて個票形式で最新動向を掲載。掲載項目は、「特徴・コンセプト」「最新トピックス」「戦略・目標」「各種戦略や施策」「売上動向」「料金モデル・サービス・プラン」「ユーザープロフィール」「課題」など20項目以上にわたり掲載しています。
第5章 ユーザーの電子書籍利用実態
2つのテーマの調査を、モバイルユーザー(スマートフォン・タブレット)を対象にウェブアンケートを行い、その結果を掲載しています。
利用率調査では、スマートフォン・タブレットユーザーを対象に、有料、無料の電子書籍利用率や、紙及び電子のマンガ、書籍、雑誌の購読状況等を掲載しています。
電子書籍利用者実態調査では、電子書籍利用者の利用実態を詳細に調査。読む電子書籍のジャンル、利用しているサービスやアプリと購入・課金しているサービスやアプリ、電子書籍読むときや読む場所、電子書籍を読む環境と量、購入・課金状況の5つの分類に分け、合計25問の調査結果を掲載しています。
特別付録
5章に掲載したユーザーの電子書籍利用実態調査のグラフ・表をExcel形式で収録しています。
■調査報告書の製品形態、及び販売に関するご案内
書名 :電子書籍ビジネス調査報告書2020
著・編 :インプレス総合研究所
発行所 :株式会社インプレス
発売日 :2020年8月21日(金)
価格 :CD(PDF)版、ダウンロード版 68,000円(税別)
CD(PDF)+冊子版 78,000円(税別)
判型 :A4判
ページ数 :282ページ
詳細、ご予約は右よりご覧ください。https://research.impress.co.jp/ebook2020
以上
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出所表記例:「インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2020』」
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