インプレスグループでIT関連メディア事業を展開する株式会社インプレス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小川 亨)のシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は、電子書籍市場の動向を調査し、電子書籍に関する調査結果を発表致します。また、本調査結果の詳細は、新産業調査レポート『電子書籍ビジネス調査報告書2021』(https://research.impress.co.jp/ebook2021)として発行し、2021年8月6日(金)に発売(予約受付中)いたします。
本調査は、「出版社」「電子書籍ストア」「取次事業者」「通信事業者」「コンテンツプロバイダー」「インターネット広告事業者」等の主要な電子書籍関連事業者へのヒアリング調査、ユーザーへのアンケート等を分析したものです。なお、本調査報告書は電子書籍ビジネス黎明期の2003年に第1号目を発行し、今年で19年目を迎えます。
■2020年度の電子書籍市場規模は前年比28.6%増の4821億円
2020年度の電子書籍市場規模※1は4821億円と推計され、2019年度の3750億円から1071億円(28.6%)増加しています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛による巣ごもり消費や、社会現象ともなった大ヒット作品の影響が大きく、電子書籍市場は大きく拡大しました。
今後、2025年度には6700億円を超える市場に成長すると予測されます。
※本年に電子書籍市場の定義を見直し、これまで区分けして集計していた「電子雑誌」を「電子書籍」に含めることとしました。過去に遡ってデータを修正しました。
【図表1. 電子書籍・電子雑誌の市場規模予測】
※1 電子書籍の市場規模の定義:電子書籍を「書籍や雑誌に近似した著作権管理のされたデジタルコンテンツ」とし、配信された電子書籍(文字もの、電子コミック、写真集、電子雑誌等)の日本国内のユーザーにおける購入金額の合計を市場規模と定義。月額定額制の利用料金やマンガアプリの課金額も含む。ただし、電子新聞や、教科書、企業向け情報提供、ゲーム性の高いもの、学術ジャーナルは含まない。また、ユーザーの電子書籍コンテンツのダウンロード時の通信料やデバイスにかかわる費用、オーサリングなど制作にかかわる費用、配信サイトやアプリ上の広告も含まない。 |
■2020年度の電子コミック市場規模は4002億円に増加、コミックだけで1000億円超の拡大
2020年度の電子書籍市場規模のうち、コミックが前年度から1013億円増加の4002億円(市場シェア83.0%)、文字もの等(文芸・実用書・写真集等)が同72億円増加の556億円(同11.5%)、雑誌が同14億円減少の263億円(同5.5%)となっています。
※本年に電子書籍市場の定義を見直し、これまで区分けして集計していた「電子雑誌」を「電子書籍」に含めることとしました。過去に遡ってデータを修正しました。
【図表2.電子書籍市場規模のジャンル別内訳】
■2020年度のマンガアプリ広告市場は260億円、2021年度は280億円に拡大
無料でマンガを読めるアプリやサービスの利用が引き続き拡大しています。その一方で、新型コロナウイルス感染症拡大により広告指標の悪化から広告単価は下落しました。また、2020年秋ころからは海賊版サイトの影響も顕在化し、一部のマンガアプリでは大きな影響を受けています。その結果、2020年度のマンガアプリの広告市場は前年から50億円増加の260億円となりました。2021年度は280億円程度に達すると予測しています。
【図表3. マンガアプリ広告市場規模】
■有料電子書籍利用率は20.5%、無料利用も含めた電子書籍利用率は45.3%
モバイル(スマートフォン・タブレット)ユーザーに対して、電子書籍の利用率を調査したところ、有料の電子書籍利用率は20.5%となり、昨年から0.5ポイントの増加となりました。無料の電子書籍のみを利用している人は昨年からは横ばいの24.8%となりました。
有料電子書籍の利用率が高いのは男性20代の29.5%、男性30代の28.5%、女性30代の25.5%であり、男女とも20代、30代の利用率が高いです。無料の電子書籍のみの利用率が最も高いのは女性10代の37.6%で、男性10代の30.9%、女性20代の29.7%が続きます。男女とも10代が最も高い比率であり、高年代になるほど低下します。性年代別の利用率を昨年度と比較すると、利用率が増加したのは男女とも20~40代であり、10代や50代以上の利用率は横ばいか減少しています。
【図表4. 電子書籍利用率の推移】
【図表5. 性年代別電子書籍利用率】
■オーディオブックの利用経験は6.9%、利用意向を持つ人は17.9%
都度課金に加え、定額制のサービスが始まり注目を集めているオーディオブックについて利用経験と利用意向を聞いたところ、「よく利用する」が2.2%、「たまに利用する」が4.7%となり、両者を合わせたオーディオブックの利用率は6.9%となりました。「利用したことはないが、利用したいと思う」と回答した利用意向を持つ人は17.9%です。
【図表6. オーディオブックの利用経験と利用意向】
2020年秋ごろから海賊版サイトによる影響が再び見え始めている中、この1年間での海賊サイトの認知状況を聞いたところ、1割弱のスマートフォンユーザーがこの1年間で具体的な海賊版サイトについて聞いたことがあると回答しています。特に男女とも10代や20代を中心に海賊版サイトの認知が広がっている状況がうかがえます。
【図表7. この1年間における海賊版サイトの認知状況】
■利用しているサービス/アプリは、LINEマンガ、Kindleストア、ピッコマの順
有料、無料を問わずに電子書籍を利用していると回答した人に、利用している電子書籍サービスやアプリを聞いたところ、「LINEマンガ」が27.8%で最も高く、「Kindleストア」が26.2%、「ピッコマ」が23.8%、「少年ジャンプ+」が15.9%、「楽天Kobo電子書籍ストア」が11.8%で続いています。上位はストア型のサービスとメディア型のマンガアプリが混在しています。
【図表8. 利用している電子書籍サービスやアプリ名(複数回答、上位20位まで)】
※回答総数3575のうち、当該設問の無効回答を除いて集計している
<<調査概要>>
■電子書籍の利用率調査
調査対象 :株式会社フォリウム スマートアンサーの保有するモニター
有効回答数 :8,559サンプル(総回収数20,693)
サンプリング :性年齢階層別スマートフォンでのインターネット利用人口構成比(総務省 通信利用動向調査)に可能な限り整合するように抽出。ただし、年代により回収率が異なっており母集団との乖離が見られるため、比重調整を行った上で分析している
調査手法 :スマートフォン・タブレットのアプリ上でのアンケート
調査期間 :2021年6月15日~21日
■電子書籍利用実態調査
調査対象 :上記の利用率調査で電子書籍を利用していると回答した人
有効回答数 :3,575
調査手法 :スマートフォン・タブレットのアプリ上でのアンケート
調査期間 :2021年6月23日~29日
<<構成・各章の概要>>
第1章 電子書籍の定義と市場規模
電子書籍の定義を整理。また、電子書籍の市場規模の推移と今後の予測について、より詳細な解説を加えています。
第2章 国内の電子書籍ビジネスの最新動向
国内の電子書籍の最新動向を掲載しています。電子書籍市場を深く理解する上で必要な最新トピックスなど分析を交えながら紹介しています。また、今後の動向について展望しています。
第3章 米国の電子書籍ビジネスの最新動向
米国の電子書籍の最新動向を掲載しています。電子書籍市場を深く理解する上で必要な最新トピックスなど分析を交えながら紹介しています。
第4章 電子書籍ストア/サービスの最新動向
15の国内電子書籍ストア/サービスについて個票形式で最新動向を掲載。掲載項目は、「特徴・コンセプト」「最新トピックス」「戦略・目標」「各種戦略や施策」「売上動向」「料金モデル・サービス・プラン」「ユーザープロフィール」「課題」など20項目以上にわたり掲載しています。
第5章 ユーザーの電子書籍利用実態
2つのテーマの調査を、モバイルユーザー(スマートフォン・タブレット)を対象にウェブアンケートを行い、その結果を掲載しています。
利用率調査では、スマートフォン・タブレットユーザーを対象に、有料、無料の電子書籍利用率や、紙及び電子のマンガ、書籍、雑誌の購読状況等を掲載しています。
電子書籍利用者実態調査では、電子書籍利用者の利用実態を詳細に調査。読む電子書籍のジャンル、利用しているサービスやアプリと購入・課金しているサービスやアプリ、電子書籍読むときや読む場所、電子書籍を読む環境と量、電子書籍サービスやアプリに対する評価、購入・課金状況の6つの分類に分け、合計26問の調査結果を掲載しています。
特別付録
5章に掲載したユーザーの電子書籍利用実態調査のグラフ・表をExcel形式で収録しています。
■調査報告書の製品形態、及び販売に関するご案内
書名 :電子書籍ビジネス調査報告書2021
著 :落合早苗/インプレス総合研究所
発行所 :株式会社インプレス
発売日 :2021年8月6日(金)
価格 :CD(PDF)版、電子版 74,800円(本体 68,000円+税10%)
CD(PDF)+冊子版 85,800円(本体 78,000円+税10%)
判型 :A4判
ページ数 :294ページ
詳細、ご予約は右よりご覧ください。https://research.impress.co.jp/ebook2021
以上
本リリースの調査結果を利用される場合は、出所の明記をお願い致します。
出所表記例:「インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2021』」
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※お問い合わせ内容は、「調査報告書・受託調査に関するお問い合わせ」をお選びください
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【株式会社インプレス】 https://www.impress.co.jp/
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【インプレスグループ】 https://www.impressholdings.com/
株式会社インプレスホールディングス(本社:東京都千代田区、代表取締役:松本大輔、証券コード:東証1部9479)を持株会社とするメディアグループ。「IT」「音楽」「デザイン」「山岳・自然」「モバイルサービス」「学術・理工学」「旅・鉄道」を主要テーマに専門性の高いメディア&サービスおよびソリューション事業を展開しています。さらに、コンテンツビジネスのプラットフォーム開発・運営も手がけています。