インプレスグループでIT関連メディア事業を展開する株式会社インプレス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小川 亨)は、動画配信ビジネス市場の動向を調査し、動画配信に関する調査結果を発表いたします。また、本調査結果の詳細は新産業調査レポート『動画配信ビジネス調査報告書2023[コネクテッドTVとAVODが拡大、コロナ禍を経て『放送+配信』の時代へ]』として発行し、2023年6月23日(金)に発売いたします(予約受付中、https://research.impress.co.jp/vod2023)。
<<映像・動画全体の視聴状況と有料動画配信サービスの利用率調査の注目の結果>>
■有料動画配信サービスの利用率は2.8ポイント増の31.7%に伸長、4割弱が利用経験者に
有料動画配信サービスの利用率は31.7%となり、昨年調査から2.8ポイント増加しています。また、3か月より以前の利用者も含めた有料動画配信サービス利用経験者は38.6%(同2.3ポイント増)となりました。コロナ禍において生活に深く浸透した動画配信は、新型コロナが落ち着いた中でも定着し引き続き高い成長率を維持しています。2022年度は民放テレビ局が連携した動画配信サービスのTVerの躍進や、FIFAワールドカップカタール2022を生配信したABEMAなどにより、有料に限らず動画配信サービスそのものがより浸透しました。さらには、コネクテッドTVの普及、World Baseball Classicや格闘技など大型スポーツイベントの有料動画配信サービスでの配信や、引き続き各サービスで話題となるオリジナルコンテンツが配信されていることなどが拡大の大きな要因と考えられます。
性年代別に見ると、男女とも20代、30代において有料の動画配信サービスの利用率が高い状況です。
■若年層を中心に動画共有サービスや有料動画配信サービスの人気がより高まる
普段よく視聴する映像・動画のうち最も好きなものを聞くと、第1位は前年調査と同じく「リアルタイムのTV番組」(27.0%)でしたが、第2位に「動画共有サービス」(19.3%)がランクインしました。第3位の「録画したTV番組」(18.7%)を動画共有サービスの人気が追い越した格好となっており、この背景にはYouTubeの圧倒的浸透があると考えられます。また、リアルタイム・録画ともにTV番組の比率は昨年に引き続き低下しています。
一方、「有料の動画配信サービス」は11.7%となり、昨年調査から2.3ポイントの増加となっており、最も伸び幅が大きくなっています。
また、性年代別に見ると、男性10代、男性20代、男性30代、女性10代、女性20代は「動画共有サービス」が突出して最も高い比率となっていることが特徴的です。また、男女とも10代、20代では「有料の動画配信サービス」が「動画共有サービス」の次点になっており、「リアルタイムのTV番組」の比率が10%程度と低いのも注目されます。
■サッカー・ワールドカップをインターネット配信でも多くの人が視聴
2022年度の動画配信サービスにおいて、大きなトピックとなったのが、ABEMAによる「FIFAワールドカップカタール2022」の全試合無料生配信でした。チャット応援、見逃し配信、マルチアングル視聴、スタッツの表示などインターネット配信ならではの付加機能と合わせて配信しました。本調査ではテレビ放送と比較しつつ動画配信でどのように視聴されたのかを調査しました。
「FIFAワールドカップカタール2022」をどのように視聴したのか尋ねたところ、「テレビ(生中継)」で視聴したユーザーは35.2%であるのに対して、「ABEMA(リアルタイム)」で視聴したのは6.8%となりました。絶対数ではテレビ放送で視聴した人が多いですが、かなりのユーザーがインターネットで視聴した状況が見て取れます。また、ABEMAでの見逃し配信やハイライトも視聴されています。特に、男性の10代から40代にかけてABEMAで視聴したユーザーが多い結果となりました。
■PPV (有料のオンラインライブ配信)の利用率は2.0ポイント増の17.2%
コロナ禍の動画配信市場の大きな変化の一つとして、有料チケット制オンラインライブ配信(PPV)が急速に立ち上がったことが挙げられます。新型コロナが落ち着きを見せ、リアルイベントの開催が回復しつつありますが、リアルとオンラインのハイブリッドで開催されるイベントも多くなっています。
本年調査では、PPVを「よく視聴する」「たまに視聴する」「1、2回は視聴したことがある」を合わせた利用経験者は17.2%となり、昨年の15.2%から2.0ポイントの増加となっています。「よく視聴する」の比率は昨年の0.4%から3.5%へと拡大しました。2022年度にはPPVで配信されるスポーツやイベントも多くなり、外出自粛や物珍しさで視聴されていた一昨年の利用状況から、課金をして視聴することがユーザーにより広まったと考えられます。
■TVerとABEMAの認知度が大きく向上
各動画配信サービスの認知度の調査では、第1位の「Amazonプライム・ビデオ」から順に、「Netflix」、「Hulu」となりました。上位3サービスの認知度は昨年と順位、比率ともに大きな変動は見られません。
注目したいのは第4位の「TVer」で、昨年調査の5位からランクアップ。また認知度は45.1%から52.7%へ大幅に上昇しました。2022年4月からゴールデンタイム・プライムタイム帯限定ながら地上波テレビ放送の同時配信(リアルタイム配信)を開始したほか、連続ドラマ、バラエティを中心とする人気作品を次々配信したことなどが背景とみられます。
また、伸び率に注目してみると、「ABEMA/ABEMAプレミアム」の存在感が際立ちます。昨年調査の26.7%から42.3%へと、15.6ポイント増加しており、サッカー・ワールドカップの全試合無料配信による影響が大きいとみられます。
<<動画配信サービス利用者の利用状況調査の注目の結果>>
■Amazonプライム・ビデオが突出もU-NEXTとディズニープラスが伸長
有料の動画配信サービス利用者を対象に、利用している有料の動画配信サービスを調査した結果、トップは「Amazonプライム・ビデオ」が72.6%となり、昨年から横ばいです。2位は昨年同様「Netflix」(21.7%)となりましたが、昨年調査から2.0ポイント低下しています。3位は「U-NEXT」(9.3%)となり、昨年調査から2.2ポイント増加してランクアップしています。また、「ディズニープラス」(7.4%)の2.6ポイントアップも注目されます。
■テレビでの視聴が増加傾向、テレビで視聴するユーザーが50%超に
有料動画配信サービス利用者に視聴に利用するデバイスについて尋ねたところ、「テレビ」で視聴するユーザーが53.6%となり、昨年調査の48.8%から4.8ポイントと大幅に増加しました。この背景には、コネクテッドTVの普及や、よりきれいな大画面でスポーツや作品を楽しみたいというユーザーが増えたことが考えられます。
※「テレビ」は、本体でインターネット接続可能なテレビ、スティック型端末やゲーム機、セットトップボックスなど様々な手段での視聴を合計しています。
※本設問は、視聴頻度や視聴時間が加味されていないことにご留意ください。
■無料動画はYouTubeが突出、TVerとABEMAが大きく増加
無料の動画配信サービス、動画共有サービスをよく視聴すると回答したユーザーに対して、利用しているサービス名を聞いたところ、「YouTube」が95.2%で突出し、以下、無料の動画配信サービスである「TVer」が43.6%で続きます。昨年調査と比較すると、「TVer」は6.5ポイントと大きく増加し2年連続で順位を上げていることが注目されます。また、「ABEMA」も5.8ポイントと大きく増加しています。
<<調査概要>>
■映像・動画全体の視聴状況と有料動画配信サービスの利用率調査
調査対象 :NTTコム リサーチの保有する消費者モニター
有効回答数 :20,469回答
サンプリング:性年齢階層別インターネット利用人口構成比(総務省 通信利用動向調査)に可能な限り整合するように抽出。集計は、年代により回収率が異なっており母集団との乖離がみられるため、性年齢階層別インターネットの利用人口構成比に整合するように比重調整(ウェイトバック)を行った上で分析
調査手法 :ウェブアンケート
調査期間 :2023年5月2日~8日
■動画配信サービス利用者の利用状況調査
調査対象 :上記の映像・動画全体の視聴状況と有料動画配信サービスの利用率調査にて、以下の回答をした者(重複あり)
・3か月以内に有料動画配信サービスを利用していると回答した者
・無料動画配信サービスをよく視聴すると回答した者
・動画共有サービスをよく視聴すると回答した者
有効回答数 :1,895回答
うち、
・有料動画配信サービス利用者1,347回答
・無料動画配信サービスをよく視聴する利用者938回答
・動画共有サービスをよく視聴する利用者1,278回答
※上記の「映像・動画全体の視聴状況と有料動画配信サービスの利用率調査」で得られた性年代別利用
者構成に比重調整(ウェイトバック)を行った上で分析
調査手法 :ウェブアンケート
調査期間 :2023年5月8日~12日
<<調査報告書の製品形態、および販売に関するご案内>>
本調査報告書では、活発化する動画配信ビジネスに関して、第1章ではその歴史や最新概況などについて分析するほか、コロナ禍から脱却する中での動画配信市場の現状を分析し今後を展望しています。また、第2章では、国内の注目すべき15サービスの概要と事業者の戦略をそれぞれ解説。第3章、第4章において、インターネットユーザーの映像や動画の視聴状況、実際に動画配信を利用しているユーザーの利用動向を詳細に調査し、その利用実態を明らかにしています。
書名 :動画配信ビジネス調査報告書2023
著 :森田秀一/インプレス総合研究所
発行所 :株式会社インプレス
発売日 :2023年6月23日(金)
価格 :CD(PDF)+冊子版 104,500円(本体 95,000円+税10%)
CD(PDF)版 93,500円(本体 85,000円+税10%)
ダウンロード版 93,500円(本体 85,000円+税10%)
判型 :A4判
ページ数 :240ページ
詳細、ご予約は右よりご覧ください。https://research.impress.co.jp/vod2023/
以上
本リリースの調査結果を利用される場合は、出所の明記をお願い致します。
出所表記例:「インプレス総合研究所『動画配信ビジネス調査報告書2023』」
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【株式会社インプレス】 https://www.impress.co.jp/
シリーズ累計7,500万部突破のパソコン解説書「できる」シリーズ、「デジタルカメラマガジン」等の定期雑誌、IT関連の専門メディアとして国内最大級のアクセスを誇るデジタル総合ニュースサービス「Impress Watchシリーズ」等のコンシューマ向けメディア、「IT Leaders」をはじめとする企業向けIT関連メディアなどを総合的に展開・運営する事業会社です。IT関連出版メディア事業、およびデジタルメディア&サービス事業を幅広く展開しています。
【インプレスグループ】 https://www.impressholdings.com/
株式会社インプレスホールディングス(本社:東京都千代田区、代表取締役:松本大輔、証券コード:東証スタンダード市場9479)を持株会社とするメディアグループ。「IT」「音楽」「デザイン」「山岳・自然」「航空・鉄道」「モバイルサービス」「学術・理工学」を主要テーマに専門性の高いメディア&サービスおよびソリューション事業を展開しています。さらに、コンテンツビジネスのプラットフォーム開発・運営も手がけています。
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株式会社インプレス 広報担当:丸山
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